10月10日は、奇しくもパットの9歳の誕生日。
お散歩の途中で帰りたがるようになったのが、夏の終わり頃でした。レントゲンで異変が分かったものの確定診断がつかず… 2度目の病理検査でようやく結果が出ました。
診断は「骨肉腫」。激しい痛みを伴う骨の悪性腫瘍です。
異変に気づいてから、食欲は落ちていないのに体重が22キロまで減りました。お散歩で歩く距離が以前の半分になって、筋肉が弱くなっているんだと思います。
一旦は良くなったように見えたものの…ときどきびっこ、足はついたりつかなかったり。
痛みは我慢しているのだと思いますが、声をかければ尻尾をブンブンふってくれるし、とっても元気に見えるのです。
生検の手術で毛を剃られてしまった膝のあたりも、一見して腫れているような様子はありません。
末期になると薬が効かないほどの痛みに苦しむといいます。そんな激痛をとりのぞくための断脚手術。一度は泣く泣く決断したものの… 予約した手術日まで日数があるので、気持ちがゆれます。
こんなにしっかり歩いているのに… なんとか断脚せずに済む方法はないのか。
話し合って意見が割れるたび、何度も腫瘍科の先生に電話してしまいました。
放射線治療という選択もあるにはあるけど、根治は期待できないため緩和的なケアに過ぎず、しかも30%の確率で痛みがとれない可能性もある。もし弱っている骨を取り巻いている腫瘍がなくなったら、今度は病的骨折のリスクが大きい、とのこと。
とうとう観念した私たちでした。
できるだけ一緒にいて、痛みのない生活を送らせてやりたい。
私たちにとって、元気のないパットを見ることほどつらいことはないのです。
心配の種はもうひとつ… 術後のリハビリ含め、1週間近く入院しなければなりません。
生まれてこのかた、パットは一人ぼっちになったことがないので、それだけで精神的にまいってしまうのではないかということ。杞憂に過ぎないことを祈ります。
抜糸の後、少し落ち着いたら、本格的な治療が始まります。
パットさん、一緒に頑張ろうね。
つらくて、切なくて、今までずっと書けずにいました。
ここから先は、これまでの経緯です(長文)。
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9月19日
気になっていたパットの右後ろ足。
先月、左後ろ足の膝蓋骨脱臼のときから、なんとなく右足に体重をかけていないように見えていました。私たちも獣医さん(モモのかかりつけだった先生)も左足の整復に一生懸命で、右足まではあまり気にしていませんでした。
ところが9月に入り、明らかに右足をつかずに歩くようになり、お散歩も途中でもう帰る!というのですよ。どうも様子がおかしいので、整形外科に強そうな病院を探して行ってきました。君津まで車で1時間弱の道のりです。
触診の後、レントゲンを撮りました。
生まれて初めてのレントゲン… 仔犬の頃、パットがあまり暴れるので、当時のかかりつけだった獣医さんが諦めてしまい、それ以来はよほどのことがない限り、全身麻酔でしか撮れないものなんだと勝手に思い込んでいました。
ところが、ここではさらっとレントゲン室に連れて行かれ、しかも麻酔なしでした!
レントゲンの結果は…
左足の膝蓋骨(パテラ)の脱臼が分かりました。
それよりも問題なのは右足。大腿骨の膝に接しているあたりが膨らんだように見え、素人目にもおかしいのが分かります。先生の所見は、「検査してみないとわからないが、最悪の場合は骨肉腫を疑っている」とのこと。
へっ? … 骨のがん?
関節炎くらいのものだとばかり思っていたのに、あらぬ方向からいきなりパンチを食らったようでした。
幸い、肺への転移は見られず、すぐに生検のための組織を採る手術を予約して帰りました。一人になるとパニックすることを話すと、「通常は1泊だけど、日帰りできるようにしましょう」と言ってくださいました。
骨肉腫をネット検索してみたら、進行の早い、怖ろしい病気であることが判明。
もし本当に骨肉腫という結果が出てしまったなら、選択肢は2つ。
すなわち、断脚するかしないか…。
犬の骨肉腫の痛みは凄まじいそうです。断脚することで、薬では押さえようのない激痛をとってやることができるということですが… 早急に決断しなければなりません。
この日、パットは夕ご飯を一口だけしか食べませんでした。
ベッドの下に潜り込んで出てきません。病院でよほど怖い思いをしたと見えます…。一体何があったの、パッちゃん?
9月20日
昨夜はベッドの下で、何度も姿勢を変えていたパットさん。眠れなかったようです。
今朝もほとんど食べませんでした。膝が痛むのか、お散歩も用足し程度。昨日の朝に比べると、かなりつらそうで見ていられません(以前マムシに噛まれたときと同じ位つらそうです)。
レントゲン撮っただけなのに… あるいは触診で痛い思いをしたんでしょうか?
今日は手術の日。
静脈麻酔下で、人間みたいに仰向けに寝かされ、脚が宙に浮いたような格好でCTを撮りました。(写真撮ればよかったなぁ…)
この病院では、手術の様子をガラス越しに見ることができたので、モモと一緒に見守りました。
手術室で組織を採取し、傷口を縫合して、麻酔から覚めるまで所要1時間程度。骨の内部組織を削り取るので、かなりの痛みを伴うそうです。
しばらくボーッとしていたパットさんですが、家に着いて少し落ち着き、ささみなど食べてくれました。痛み止めが効いているようでひと安心。
7日分のお薬を飲ませ終わった頃に抜糸+結果が出る予定。それまでは患部を舐めないように、モモが使っていたエリザベスカラー装着!
さすがにダウンしています。
夕方、ちょっとだけ用足しの散歩に出ました。パットSMILEが復活、今朝まで下がりっぱなしだった尻尾も振ってくれてます。痛みがないと、こんなに違うものなんでしょうか… 夕ご飯もしっかり食べました。
これで少しホッとしましたが、検査結果が出るまでは何も手に着きそうにありません…
10月2日
10日も待って、ようやく出た生検の結果は悪性というだけで、組織不足のため骨肉腫かどうか分かりませんでした。形質細胞腫の可能性もあり、要再検査とのこと。
診断の内容をそのまま大きな声で読みあげられただけでした(→それを詳しく聞きたいから、こうしてわざわざ来ているのに)。
しかも昨日撮ったCTは足だけで、肺などの臓器は撮っていないというんです。
これからCTを撮って転移がなければすぐにでも断脚を、という説明にますます不信感が募ってしまいました。
レントゲン検査の日にパットが食べなくなってしまったこともずっと気にかかっていて…この病院には見切りをつけることにしました。川崎の高度動物医療センターへの紹介をこちらから申し出て、すんなり翌日に予約がとれました。
10月3日
早起き、絶食で川崎の高度動物医療センターへ。
腫瘍科の先生はよく話を聞いてくれて、犬たちにも大事な家族として接してくれます。
「まずは確定診断を急ぎ、断脚は最後の選択です」と言ってくれました。説明も論理的で分かりやすく、しかも言葉を選びながら話してくれる先生です。
血液検査、尿検査ではさほど重篤な値は出なかったので、あるカテゴリーの骨髄腫を特定できるという、より踏み込んだ蛋白の検査には至らず。翌日、針で骨の組織を吸引する手術を受けることになりました。
戻ってきたパットさん、プルプルっと診察室によだれを振りまいてくれました。
10月4日
朝食抜きが2日続いて、体重が22キロを割ってしまいました。
2度目の全身麻酔です。午前中にパットを預けて、手術が済むまでひたすら駐車場で待機… 時間を持て余してしまって、モモと多摩川を散歩しました。
懐かしい風景! そう、つい4年ほど前までは、ここからそう遠くない対岸に住んでいたんだったっけ。
16時近くになってようやく携帯が鳴り、パットを迎えに行きました。
看護士さんたちに愛想を振りまいていたらしく、人気者だったとか(笑)
センターを出るときにはすでに暗くなっていて、家についたら19時を回っていました。
結果待ちというのはイヤなものです。
骨髄腫なのか骨肉腫なのかによって、治療や予後が全く変わってきます。
骨肉腫以外の腫瘍なら、断脚しなくてもすむかもしれない… そんな闇の中の光にすがるような気持ちで過ごした数日間でした…